Saturday, July 16, 2011

Facebook後の世界

前から気になっていたことが、現実になろうとしている。Facebookバブルの終焉である。
ここ半年ほど、日本国内でもFacebookの時代が来る、と、盛んに言われはじめ、実際に日本国内のでFacebookのアカウント数は大幅に伸びた。乱暴にくくってしまえば、日本ではITリテラシーの高い層ほどFacebookの利用率が高い。私のFacebookアカウントも、今までmixiで繋がっていた人々がFacebookに乗り換え、フレンドの数も増えた。確かに日本でのFacebookユーザーは増えている。


Facebookは磐石の礎を築き、確実に世界でもユーザー有を伸ばし続けている。これは事実だ。だが、ちょっと考えて欲しい。あなたは、SNSプラットフォームのアカウントを幾つ持っているだろうか?
私は主に利用するSNSプラットフォームは、Facebook、mixi、google+の三種である(Twitterは狭義の意味でSNSのプラットフォームとは呼べないので除外する)。仕事関係はFacebook、近しい友達などはmixi、主にネットでの友人関係はgoogle+という使い分けだ。これは、特別自分で意図したわけではなく、自然にそうした流れになった。mixiしか使わない人、Facebookしか使わない人は多い。また、もう少し視野を広げれば、十代の学生ではモバゲーが多く、1F層の女性ではGREEが多い。一部ではnetlogの利用者もじりじりと増えてきている。


本国内に例を絞って考えてみよう。
携帯電話での利用を含め、日本で毎日インターネットを利用する、アクティブなインターネット利用人口を60%程としよう。このうち、何らかのSNSプラットフォームを利用している人は、8割とすると、


12,000万人 × 0.6 × 0.8 = 5760万人


この数字が多いか少ないかはさておき、問題なのは、この半年で、5760万人という数字は、実はほぼ変わっていない、ということなのだ。この先も多少の伸びはあろうが、アクティブなインターネット利用者は、実際随分前から何らかのSNSサービスを利用しているのだ。
そして、さらに話をややこしくするのが、私のように、複数のSNSプラットフォームを利用するユーザーである。


誌で例えて考えてみよう。
Aさんは、毎週月曜日に必ず週刊少年ジャンプを買う。ではこのAさんは、水曜日に少年サンデーを買うことはないのだろうか?答えはもちろん、Noだ。Aさんは自由にジャンプもサンデーも買うことができる。同じ月曜日発売のヤンマガは買いにくいかもしれないが、基本的に読者は別の雑誌にも浮気をする。つまり、すべての雑誌の発行部数の合計=購読者数ではない、ということだ。一人で2冊でも3冊でも買う人はいる。


じことがSNSプラットフォームにも言える。登録して利用するのに料金はかからない。だから、ユーザーは複数のSNSプラットフォームを利用する。但し問題なのは、1ユーザーの財布は一つなので、アカウントが3つあっても、財布は一つなのだ。
FacebookでEmpires & Alliesに夢中なユーザーが、仮にmixiでサンシャイン牧場をプレイしていても、両方に課金するとは限らない。雑誌と違い、これらは無償でもそれなりに楽しむことが出来るからだ。ユーザーは、より楽しいと判断したコンテンツに集中的に課金し、そうではないゲームには課金しない。そして、さらい悪いことに、ユーザーは浮気性で、数ヶ月もすると他のゲームに乗り換えてしまう。


うして、SNSは複数かけ持つことが当たり前になり、さらにユーザーの課金は分散される傾向にある。SNSぷらっとフォーマおとゲーム会社としては、非常に厳しい時代である。


んな中、一つの方向性を示すゲームがある。ZyngaのリリースしているWords with friends(以下WWF)というゲームだ。iPhone、Android両プラットフォームでアプリとしてリリースされている。これは基本的には欧米でポピュラーなスクラブルというゲームで、日本で言えばクロスワードやナンクロのようなものだと思っていただければいい。
WWFはFacebookを利用しない。というよりも、SNSを利用していない。しかし、単体で友人を誘ってネットワーク経由で対戦することができる。つまり、ゲーム自体がSNSプラットフォームとなっているのだ。販売形態は有償版と無償版があり、無償版ではゲーム内広告が表示されるが、有償版は広告の表示がない。違いはこれだけである。基本的には広告収入に頼ったゲームであり、ユーザーは無償でゲームを楽しむことが出来る。


来のSNSプラットフォームは、自社プラットフォームに忠誠を尽くすユーザーがメインのターゲットであり、そうしたユーザーは実に忠実で、プラットフォームへ課金を惜しまなかった。
だが、この形は複数のSNSプラットフォームの混在という状況により崩れつつある。
この先、SNSプラットフォームは複数のアカウントを利用するユーザーの一つの財布を分けあい、奪い合う時代になる。こうした中で、プラットフォーマーが取るべき選択は幾つかあるが、その一つが広告であることは間違いない。ユーザーへの負担を迫るのではなく、企業への負担を見込むのだ。実際に、Facebookではここ1年ほどの間で、様々なアイディアを駆使した企業ページの広告が増え続けている。


ーザーにとって広告は、課金ほどのデメリットにはならない。もちろん、広告の表示によってドロップ(そこでコンテンツの視聴を中断する)ユーザーは多く出るだろうが、ここからは有料です、と表示することと比べれば、雲泥の差である。
この流れば、もう十年も前にインターネット全体が経験した試練だ。SNSプラットフォームも今、この判断を迫られている。もうFacebookだけがユーザーの財布を独占する時代ではない。この先1年、SNSの世界は今まで以上に大きな流れに巻き込まれて変わるだろう。
もはや、Facebookやmixiが特別であった時代は、終わりを告げるのだ。

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